質問
★「お盆」は、食器を運ぶ「お盆」と関係があるのですか?
回答
若林隆壽
まったく同じ字を書きますが、関係ありません。仏教の生まれたインドの古い言葉で、「逆さまに吊り下げられた苦しみ」のことを「ウランバナ」といいますが、その読みを漢字で写したのが「盂蘭盆」であり、さらにそれを略したのが「お盆」です。「お盆」は、お釈迦さまの高弟の一人である目連さまが、欲深のせいで餓鬼道に墜ちた自分の母親を救うために、夏の修行を終えた大勢のお坊さんに食べ物を捧げたという故事に由来しています。食べ物を口に入れようとすると、それが炎に変わってしまうという餓鬼道の苦しみが、この「ウランバナ」であったというわけです。
最近、遊園地などで、身体にロープを結びつけ、高いところから飛び降りる「バンジー・ジャンプ」という危険きわまりない遊びが流行っています。大きな事故の起きる前に、一日も早くブームが去ればいいと思っていますが、あれは飛び降りた後で、いずれ誰かが引き上げてくれることが分かっているので、皆挑戦するのであって、もし逆さに吊り下げられたまま放置されるとなれば、誰もやろうと思う人はないでしょう。年々、恐怖の度合いを増して、各所に新設されてゆくジェットコースターのたぐいを見ても、人間の欲望は、次々とエスカレートしていくものであることがわかります。お盆を機会に、自分の欲の深さを顧みましょう。