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続・質問帳

若林隆壽

質問

仏教では「欲(よく)」をもってはいけないのですか。

回答

若林隆壽

 

  人生楽(らく)して生きたい、病気になりたくない、いつまでも若くいたい、死にたくない、愛(いと)しい人と別れたくない、嫌(きら)いな人と会いたくない、欲しいものは手に入れたい、心の痛みは味わいたくない。誰もがごく普通に思い、願うことですね。
では、この中に実現可能なことが一つでもあるでしょうか。自分の努力によって、ある程度まで先延ばしにできるようにも思われますが、どれをとっても避(さ)けられないことばかりです。  

  これがいわゆる「四苦八苦(しくはっく)」ですが、仏教を開かれたお釈迦(しゃか)さまは、人生は「苦」であると見きわめ、その「苦」がどこから来るのかを考え続けられました。その答えの一つが、「~したい」「~したくない」という「苦」は、実は「自分は」という自己中心の「欲」から出てくるものだということでした。
仏教で、「欲」を離れるというのは、「何も求めない」ということではありません。決して、前向きに生きる「意欲」や「向上心」を失うことと同義語(どうぎご)ではないのです。
  「欲」や「執着(しゅうじゃく)」を捨てるというのは、世の中は、「自分」一人の力で回っているのでなく、無限の過去から続く「原因」と「結果」との積み重ねであることを知りなさい、何でも自分の価値観で判断したり、自己中心の物の見方をするのではなく、一歩離れたところから、見直してごらんなさいということでしょう。

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