質問
★「ボランティア活動(かつどう)」は仏道修行(ぶつどうしゅぎょう)といえますか。
回答
若林隆壽
さすがに最近はなくなりましたが、以前は「どうしてボランティアに精(せい)を出すの」「自己満足でしょ」「お坊さんなら布教(ふきょう)に励(はげ)んだら」などといわれることがありました。その都度(つど)、仲間たちと「われわれはなんでボランティアしてるんだろうね」と語り合いました。
「喜ぶ顔を見るのが好きだから」「いてもたってもいられないから」「今自分にできることだから」「いろんな人と出会えるから」などそれぞれの考えがありましたが、「自分の修行に役立つから」という者はいませんでした。
そこで、ボランティア活動を仏道修行の基本である「六波羅蜜(ろくはらみつ)」に当てはめてみると、布施(ふせ)(無償で)・持戒(じかい)(規律を守り)・忍辱(にんにく)(時には耐(た)え忍(しの)び)・精進(しょうじん)(一生懸命(いっしょうけんめい)に)・禅定(ぜんじょう)(心を落ち着けて)・智慧(ちえ)(目的に近づく)という六つの徳目(とくもく)の要素がほとんどそのまま含まれていることに気づかされます。
ボランティアはラテン語の「ボラタンス=自由意志」を語源(ごげん)として、「自らの意志で無償の奉仕活動を行う人」をいいます。実は、私たちの人生も、この「六波羅蜜」を自分の考えで実践(じっせん)することで成り立っているのです。
思いやりの心を持ち、社会のルールに随(したが)い、我慢(がまん)を知り、ひたむきに、よく考えて、歩みを進める。ボランティアばかりではありません、。仏道修行は日常生活の中、どこにでもあるのです。