質問
★宗派によって、読むお経は違うのですか。
回答
若林隆壽
話を日本だけに限っても、宗派によって、それぞれ読むお経は違っています。
これは各宗派の宗祖(その宗派を開いた方)が、お釈迦様の教えの中から「これこそ」と選び抜いたお経を読んでいるからです。
お経はどれも「如是我聞」(わたしはこのように聞きました)」という言葉で始まります。
これはお釈迦さまが、その都度、聞き手の状況に応じて、最善のお話をされたことを表しています。
その数は八万四千もあるといわれていますが、それだけ一人ひとりの心のありようが違うということです。
たとえば、どこかへ旅行したいと思ったときに、まず、考えるのは目的地までの交通機関ですね。
スピードを重視すれば、飛行機や新幹線、ゆっくり景色を眺めながらとなれば鈍行列車かバス、のんびり船旅ということもあります。
乗り換えなしが一番と、自家用車でのドライブばかりの人もあれば、自分の力で到達したときの充実感がなによりと、旅行は徒歩に限るという人もあります。 ゆるぎない心の平安を得るための仏道修行。
その目的にたどり着く道筋はいく通りもあるのです。
「宗論(どの宗派がすぐれているかという論争)は、どちらが負けても釈迦の恥」といいますが、宗派ごとに読むお経が違うのは、宗祖方がご自身の確信した方法で、人々を導こうとされた結果なのです。