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続・質問帳

若林隆壽

質問

両親から、子供が生まれたら名前は菩提寺(ぼだいじ)のご住職につけていただくよういわれました。自分たちでつけてはいけませんか。

回答

若林隆壽

 

  落語の『寿限無(じゅげむ)』。ご存知のように、この子にはこう育ってほしい、こんなことで困らないように、という親の期待や希望がすべて詰(つ)め込まれた、とてつもなく長い名前をつけられた少年の「悲劇(ひげき)」、ひいては親の欲目(よくめ)を笑い飛ばした傑作(けっさく)です。
自分たちの愛の結晶(けっしょう)である子供に名前をつけるというのは、新たな家庭を築いた若い夫婦にとっては、何物にも代(か)え難(がた)い喜びであることは間違いありません。それを他人に任(まか)せることに納得(なっとく)がいかない、というのも無理からぬことです。
しかし、ご両親がそうおっしゃられるのは、あなたのお宅とお寺さんとの間に、良好な信頼関係が成り立っているという証(あかし)でもあります。
むげに拒絶(きょぜつ)するのではなく、まず自分たちで考えた名前をいくつか示し、希望を伝えた上でさらにご住職のからも候補(こうほ)を挙(あ)げていただき、その中から選ばれるのがよいでしょう。
「長久命(ちょうきゅうめい)の長助(ちょうすけ)」は子供の幸福を願う親の率直(そっちょく)な気持ですが、何から何まで親の欲求(よっきゅう)を満たそうとすれば『寿限無』になりかねません。
名前はその子の一生を左右する重要な要素(ようそ)の一つです。最終的に決定するのはあなたたちだとしても、独善的(どくぜんてき)にならず、一度は識者(しきしゃ)の智恵に耳を傾けてはみてはいかがですか。

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