質問
★お釈迦(しゃか)さまはおひとりなのに、なぜいろいろな宗派があるのですか。
回答
若林隆壽
「仏教」というのは、そのまま読めば「仏の教え」ですが、少し読み方を変えれば「仏になる教え」「仏を目指す教え」ということができます。
お釈迦さまの説かれた「仏教」の基本的な考えの一つに「苦(く)」というものがあります。この世は「生老病死(しょうろうびょうし)」などのいわゆる「四苦八苦(しくはっく)」に充(み)ち、何一つ自分の思い通りになることはない、そうした「苦しみ」を脱し、それにとらわれない境地(きょうち)に到達(とうたつ)することが、「仏になる」「仏を目指す」ということだといわれています。しかし、その道のりは決して平坦(へいたん)なものではなく、また一様でもありません。
北陸新幹線が金沢まで延伸(えんしん)し、時間も短縮されて、関東からは随分(ずいぶん)と便利になりました。しかし新幹線が使えるからといっても、人によっては、荷物が多いから自家用車で行きたい、でも、自分で運転するのはきついので、誰か戸口から戸口へ乗せてくれないだろうか。あるいは、私は値段の安さで深夜バスを選んだ、僕は飛行機が大好きだから等々、行き方は様々です。中には、何日かかっても自分の足で歩いて行ってみせるという強者(つわもの)もいることでしょう。
誰もが、お釈迦さまが示されたゴールを「目指す」としても、その方法は千差万別(ぜんさばんべつ)、一人一人その人に適した方法が違っている、それが、いろいろな宗派があるということです。