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善意に法的責任なし
1994年(平成6年)6月7日−毎日新聞掲載
『事故の第三者が応急手当をしたことで被害者の容体が悪化しても第三者は法的責任を問われない−−−。総務庁の「交通事故現場における市民による応急手当促進方策委員会」(座長・川合 健 創価大学教授)は、6日現行法の免責制度を明確にし、この周知徹底を求める報告書をまとめた。また応急手当をした第三者が血液感染など二次災害に巻き込まれた場合について、補償範囲の拡大や十分な補償金の支払いなど制度改善を求めた。』
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◆交通事故現場における市民による応急手当促進方策委員会◆
<委員会の発足>
1992年に行われた「交通安全に関する世論調査」で、応急手当の推進に関して各方面より様々な努力が行われているにもかかわらず、依然として一般市民による応急手当が積極的に行われていない理由が明かになりました。
<回答結果−複数回答可−>
1 「方法がわからないから」69.2%
2 「かえって症状が悪化したりすると、責任を問われかねないから」36.0%
3 「かかわりたくないから」25.3%
普及がなされない原因が、一般の関心が必ずしも醸成されていないことの他に、応急手当を実施した場合の法律関係が明確でないことにあるため、1993年に総務庁は、法律・医療関係者らでつくる同委員会を発足させ、下記の検討を行い、報告書をまとめました。
<検討項目>
1.救命手当を実施する場合の法律関係
2.救命手当を実施した者が疾病等の損害を被った場合の補償関係
3.救命手当を実施した場合の報酬制度導入の可否
4.その他救命手当を普及するための環境整備
◆法的責任◆
<アメリカ>
※グット・サマリタン・ロー(Good Samaritan Law)
アメリカには「善きサマリア人法」と一般に総称される法律があります。
内容は州により異なりますが、基本的には緊急時の場合、市民が進んで応急手当を行い、善意で救命手当等の救助行為にでた者について、万一の事態になっても法的責任は免責されるという内容を含んでいます。
<ドイツ>
※ドイツ刑法第323条(救助の不履行)
災害又は公共の危険若しくは急迫に際し、救助を行うことが必要であり、かつ諸般の事情からみて行為者にそれを期待することができ、特に自分自身に著しい危険もなく、かつ他の重要な義務に違反しなくても、それが可能であるにもかかわらず、救助を行わなかった者は、1年以下の自由刑又は罰金に処する
<日本>
※刑法第37条(緊急避難時)
救命手当は、「社会的相当行為」として違法性を問われず、故意もしくは、重過失でなければ法的責任はない。
※民法第698条(緊急事務管理)
悪意または重過失がない限り、善意で実施した救命手当の結果に救命手当の実施者が被災者などから責任を問われることはない。
つまり、実施者は、責任問題を気にしないで勇気をもって救命手当に望める法律環境にあることをこの機会に是非、認識して下さい。
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<参考文献>
交通事故現場における市民による
応急手当促進方策委員会報告書
(総務庁長官官房交通安全対策室)
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