質問
★なぜお釈迦さまのお誕生日を「花まつり」というのですか。
回答
若林隆壽
四月八日のお釈迦さまのお誕生日は、そのお誕生日の際に天から龍が降りてきて、 香湯の雨を降らして祝ったという故事に習い、わが国でも誕生仏に甘茶などをそそぐ 「灌仏会」として、古くからお祝いされてきました。
教科書などでご覧になったことがおありだと思いますが、東大寺に伝わる国宝の「誕生釈迦仏立像」 は、天平勝宝四年(七五一)四月の大仏開眼のときの「灌仏会」に使用されたものです。
その「灌仏会」「仏生会」「降誕会」「浴仏会」「龍華会」などといわれていたお釈迦さまのお誕生 日が「花まつり」と呼ばれるようになった歴史は以外に新しく、大正時代のことでした。
大正時代、明治時代に吹き荒れた廃仏毀釈という仏教弾圧の嵐によって、一時期元気をなくしていた 仏教を、民衆の心の支えとして復興しようという活動が盛んに行われました。
「花まつり」の呼称は、その運動の先頭に立っていた、安藤嶺丸という人の命名だといわれています。 お釈迦さまがお生まれになったのがルンビニの花園だったことにちなみ、また「花咲爺さん」が枯れ木に花を咲かせたように、お釈迦さまのお誕生、そしてその教えが、世の中に救いの花を咲かせたとの思い から名づけられたものでした。
「花まつり」。皆さんもご自身の心に、すばらしい花を咲かせましょう。