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続・質問帳

若林隆壽

質問

お寺でよく「えこうする」という言葉を聞きますが、どういうことですか。

回答

若林隆壽

 

  あなたは「えこう」と聞いてどんな字を思い浮かべますか。よほど仏教に興味のある人でない限り、若い人 なら、十中八九は「カラオケ」で声を響かせる残響の「エコー」ではないでしょうか。
お寺で使う「えこう」 はもちろんこの「エコー」ではなく、「回向」あるいは「廻向」と書きます。もともとは「めぐりさし向ける」、 つまり「何かをその方向へ向かわせる」という意味です。
では「何を」「どこへ」向かわせるのでしょう。仏教を信ずる人の究極の目的は、悟りを開いて仏となる ことですが、それを達成する修行の方法についての考え方は、宗派によって千差万別です。どの宗派にも 共通していえることは、自分が善い行いを積んだことによって得られた結果(これを「功徳」といいます) を独り占めにしないということでしょう。ですから「回向」とは、この「功徳」を、自分が悟りを聞くために、 また他人の修行を助けるために振り向けることをいうのです。そして、そこからさらに意味が広がり、 亡くなった方の冥福を祈ることを指すようにもなったのです。
誰もが、ご先祖さまを大切に思うと同じくらいに「みんなで共にいい方向へ進みましょう」という 「回向」の志を持って生活すれば、この世の中にもずいぶんと違った「エコー」がかかるようになると思います。

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