logo

続・質問帳

若林隆壽

質問

「除夜の鐘」を撞くときにいわれる「百八の煩悩」とはなんのことですか。

回答

若林隆壽

 

  欲しい物を手に入れたいと思う気持ち、あることにこだわってそこから離れられない心など、人間の心や身体を煩わせ悩ませるのが、字の通り「煩悩」です。 
仏教では、おおまかにいって、その根本に貪(むさぼり)・瞋(いかり)・痴(おろかさ)・慢(あなどり)・疑(うたがい)・見(悪い考えを持つ)の「六煩悩」があると考えています。 
そして、その六つが「六識」、眼(見る)・耳(聞く)・鼻(嗅ぐ)・舌(味わう)・身(感じる)・意(思う)という基本的な感覚のそれぞれにあって「三十六」となり、さらにそれに過去・現在・未来の三つの時をかけて「百八」になるといわれています。 
ただ、その掛け算の仕方も一様ではなく、数も「百八」と決まっているわけではありません。もっと細かく分類していくと「八万四千」にもなるといわれています。 
下り坂を物が自然に転がっていくのと同じように、自分のため、自分の得になることなら躊躇なくできることでも、残念ながら、いざ他人のためになると、上り坂を上るように苦労に感じられるのがわれわれ人間です。 
「除夜の鐘」は、そんな自分だけには利益があるようにという「我利我利(がりがり)」の独りよがりの「煩悩」を、一つ一つ取り除いてくれる鐘です。心静かに聞いてみましょう。

その他の質問<バックナンバー>

カードの画像1

御香典

カードの画像1

廻向

カードの画像1

花まつり

質問一覧


2007 © 仏教書専門店 中山書房仏書林