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続・質問帳

若林隆壽

質問

お中元はお盆の行事と関係があるのですか。

回答

若林隆壽

 

  「中元」というと、お盆の行事のように考えられがちですが、もともとは中国の道教(どうきょう)の祭日「三元(さんげん)」から来た言葉で、仏教とは関係ありませんでした。 
道教では一月、七月、十月の各十五日を「上元(じょうげん)」「中元(ちゅうげん)」「下元(かげん)」と呼び、盛大な火祭りを行って、両親や目上の人に魚を贈るという週間がありました。 
「元」は「はじめ」を表し、この日から心機一転、新たなスタートを切るという意味合いが強かったようです。 さて、わが国でも、古くはお盆に「生盆(いきぼん)」といって、両親の健康を祝い、魚(主に鯖)を贈るということが行われていました。これを「生御霊(いきみたま)」といい、ともに7月15日ということから「中元」と結びついたと考えられています。 
贈られるのが魚であるのも不思議な符合点ですが、鯖が使われるのは、仏教でご飯を生飯(さば)ということに由来したものでしょう。 「中元商戦」という言葉もありますが、お盆の15日を過ぎたら「書中お見舞」、立秋を過ぎたら「残暑お見舞」とするというようなところに、昔の人の、季節の移ろいに敏感な心が感じられます。 
今でも、「お中元」にお線香をやり取りし、お互いに墓参りをするという美風(びふう)の残る地方もあります。「お中元」が単に義理を果たすためだけの「虚礼(きょれい)」とならぬよう心掛けたいものです。

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