質問
★なぜ「お彼岸」は一週間あるのですか。
回答
若林隆壽
人間も含め地球上のすべての生き物が暮らしていく上で、第一に基本になるのは、昼夜が交代する一日という単位です。それを基準に月の満ち欠けや太陽の運行など、天文学的な計算の上に暦というものがなりたってきました。
「お彼岸」は春秋に行われていた日本古来の祖先崇拝(そせんすうはい)行事が仏教徒結びついたものと考えられています。『日本書紀』によれば、わが国に暦がもたらされたのは、その仏教が伝来したのと同じ、六世紀の中頃といわれていますが、それがどんな暦であったかは分かっていません。ちなみに現在使われているグレゴリオ暦が明治政府によって正式に採用されたのは、明治31(1898)年のことですから、まだわずか100年ちょっとの歴史しかないのです。
ですから、「週」という単位での考え方は「お彼岸」とは直接には関係ないことなのかのしれません。
ただ、人工衛星もコンピュータもないときに、昼夜の時間が等しくなる「お中日」を正確に把握し、その日を中心に前後3日ずつに布施(施す)・持戒(慎む)・忍辱(忍ぶ)・精進(励む)・禅定(心を静める)・智慧(学ぶ)という6つの修行を行う修養週間を設定した、昔の人々の智慧には驚かされます。
カレンダーにしばられ、自然の大きな流れを感ずることが出来なくなっているのは、案外と現代人の方なのではないでしょうか。