質問
★火葬(かそう)場での「骨揚(こつあ)げ」は、どうして二人一組で拾うのですか
回答
若林隆壽
「骨拾(ひろ)い」「灰(はい)よせ」などとも呼ばれる「骨揚げ」を二人一組で行うのは、「あの世への橋(箸(はし))渡し」という語呂(ごろ)合わせ、あるいは、これは仏教の考え方ではないのですが、死を「忌(い)み嫌(きら)うべきもの」として、一人で行うのを避ける意味があると説明される場合が多いようです。
茶毘(だび)に付したばかりのご遺骨、いわゆる「焼骨(しょうこつ)」はかなりの高温で、素手(すで)で触れることはできません。そこで長い箸を使うのですが、もろくなった「焼骨」を、一人で持ち上げたのでは崩(くず)れやすいというのが、実際の理由かもしれません。
また、食べ物を箸から箸へと渡す「渡し箸」は、この「骨揚げ」が連想されるのでタブーとされますが、先に「渡し箸」の禁忌(きんき)があり、あえて「骨揚げ」に通常でないやり方を取り入れたとも考えられます。
現在のように一般庶民の遺体(いたい)が茶毘に付されるようになったのは、せいぜいここ一世紀ほどのことです。「骨揚げ」のやり方も地方によって大きな違いがあります。あまり、二人一組ということにこだわる必要はないように思います。
運動会の二人三脚、どちらか一人が焦(あせ)ってスピードを上げようとしても、二人の息がピッタリと合わなければ、絶対に上手(うま)く走れませんね。これと同じで、亡き人を偲(しの)んで、遺(のこ)された人たちが心を一つにするためだと考えるのがよいのではないでしょうか。